8/15に8月のメキシコの政策金利発表がありました。予想は直前まで、引き下げか据え置きで意見が拮抗していましたが、結果は0.25%の引き下げとなりました。これにより、メキシコの政策金利はこれまでの8.25%から8.00%になりました。
この結果を受け、為替レートは一時的に5.348円まで下押しましたが、現在は5.4円を回復しています。今回は、この政策金利引き下げの結果についての詳細と今後のメキシコペソについて確認してみました。
政策金利引き下げにによる影響
一般的に金利を引き下げると国内経済によい影響があると言われています。
金利引き下げにより、中央銀行から各金融機関は安い金利で資金を調達できるようになります。これにより会社は金融機関からより低い金利で資金を調達できるようになり、個人も住宅ローン等の金利の低下が見込めます。これらが好循環となり、国内景気を活性化させ物価を押し上げる(インフレ)効果が期待されます。
そこで、現在のメキシコをみてみます。ロペスオブラドール政権では、地方間の格差是正を公約に掲げています。今後公共事業に力を入れる方針のようです。財源についてやや不安があるような話もありますが、、、とはいえ、この利下げはメキシコ国内の経済にとってはよい影響を与えそうです。
2019年6月末時点のメキシコ経済の状況についてまとめた記事です。参考までに。
現在、米中貿易摩擦や米国の逆イールド現象の発生から、世界的に金融緩和の傾向が強いです。ニュージーランドでも大幅な利下げが行われたことは記憶に新しいです。メキシコの利下げの理由は、国内経済の需給の緩みや不確実性を背景に利下げを決定したとのことです。不確実性という中に世界経済の状態も入っていると思われます。
今回のメキシコの政策金利引き下げにあたり、声明文では以下のような文言がありました。(一部抜粋)
インフレの下方向リスクとして、ペソが上昇する可能性
インフレに影響を及ぼす不確実性の要因や要素のすべてに注視
インフレが中銀目標内で収束するよう、得られた情報に基づいて必要な措置を講じる
慎重な金融政策スタンスを維持
ペソ高が進むとインフレ低下の要因となる可能性があると声明文にあります。一般的に新興国は「通貨安」→「インフレが進む(物価が上昇)」→「物価の上昇を抑えるために金利を高くする」国が多いです。
しかしメキシコでは、昨年末のUSMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)合意を受けて今後はペソ高が続くとの強気な姿勢を示していました。しかし、今回国内経済の需給の緩みの拡大や不確実性からペソ高になるとの見込みが低下したようです。
「メキシコペソ高(通貨高)」→「インフレ率の低下(デフレが進行)」→ 「不景気」 → 「利下げ」というのが一般的です。そのため、もしメキシコペソ安へ振れた場合、インフレ率を維持するために金利引き下げにはややブレーキがかかるのではないかとの見方もできます。これは、メキシコペソでスワップポイントの運用をしている人にとってはよい点です。しかし、メキシコペソ安となるということは、評価損益がマイナスになるということを示しますので歓迎できることではありません。
為替と金利の動きは連動していますので、どちらも一長一短ですね。メキシコペソ運用をしている私にとっては、レンジ相場が一番うれしいのですが、、、
とはいえ、米国が金利を引き下げたことで、新興国に資金が流れるのではないかとの見方もあり、ペソ高となる可能性が消えたわけではありません。スワップポイントが少なくなるより、メソ安が進むほうが評価損益の大幅なマイナスが発生するため、インパクトが大きいと感じます。(大きなロットで取り引きしている人は、どちらもダメージが大きいと思いますが。)なので、個人的にはペソ高となることを応援したいです。
なお、声明文中には今後の利下げの可能性等の文言は盛り込まれなかったようです。
また、メキシコの最大の貿易相手国である米国の経済状態ですが、逆イールドが発生したりトランプ大統領の発言や米中貿易摩擦等でいろいろ問題となっていますが、直近の経済指標の結果は比較的よい結果が多いです。逆イールドが発生したからといって、すぐ景気が後退するわけではないと言われています。メキシコの景気も米国次第なところもありますので、引き続き米国の経済状態には注目ですね。
もう一つ、メキシコの隣国のアルゼンチンで株価の暴落が発生しています。直接は関係ありませんが、隣国ですのでそちらの状態にも注意しておきたいです。
今年中のメキシコペソ円ですが、5.4円~5.8円のレンジで推移するとの見方が多勢のようです。(野村證券様のレポート参照)米国経済次第なところもありますので、世界経済の状態に注視しつつ、買い増しする際はできるだけレンジの下限あたりで買い増せるように努めたいと思います。
政策金利の低下によりスワップポイントは、やや減少する可能性がありますが(8/18時点ではセントラル短資FXさんのスワップはまだ変わらずでした。)、依然8.00%という高金利です。引き続き為替の急落に注意しつつ運用を続けて行きたいと思います。
参考資料)野村證券様のレポートを参照させていただきました。
※レンジの金額はあくまでも予想です。何か大きな問題が発生すると急落する可能性もあります。十分理解して取り引きを行いましょう。
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